金属屋根は丈夫なイメージがありますが、実は雨漏りのリスクと無縁ではありません。
板金そのものより、ビス・継ぎ目・シーリングといった接合部が弱点になりやすく、放置すると建物内部で被害が拡大します。
まだ大丈夫と様子を見ているうちに、天井裏の木材が腐ったり、断熱材にカビが生えたりと、見えないところで深刻な状態に進行するケースも少なくありません。
この記事では、金属屋根の雨漏りで多い3つの原因と、それぞれの対策を解説します。
もくじ
お好きな項目へ読み飛ばすことができます
金属屋根でも雨漏りする理由
金属屋根そのものは防水性が高い素材です。
しかし専門業者によると、金属屋根の雨漏り調査では接合部が原因と判明するケースが代表的とされています。
板金を固定するビス、板金同士をつなぐ継ぎ目、役物周りのシーリングなど、接合部に弱点が集中しているからです。
板金本体の錆び穴よりも、こうしたディテール部分からの浸水が圧倒的に多い傾向があります。
工法によっても弱点の位置は変わります。
折板や立平、瓦棒など、それぞれビスの打ち方や継ぎ目の配置が異なるため、雨漏りしやすい箇所も工法ごとに違ってきます。
原因1|ビス周りからの浸水
金属屋根を固定するビスには、ゴム製のワッシャーが付いています。
ワッシャーとは、ビスと板金の間に挟むゴムパッキンのことです。
このワッシャーを板金に押し付けて圧縮することで水の侵入を防ぐ仕組みですが、ビスの締め方が不適切だとワッシャーが変形したり隙間ができたりして、雨水が入り込む原因になります。
施工不良と経年劣化、両方が要注意
新築や屋根工事の直後に雨漏りが起きた場合、ビスの締め過ぎ・締め不足・斜め打ち・下地を外した打ち方など、施工時の不良が疑われます。
一方、築年数が経過している屋根では、紫外線や温度変化でワッシャーが硬化して亀裂を起こしたり、ビス自体が錆びて緩んだりすることで漏水リスクが高まります。
海沿いなど塩害の影響がある地域では劣化が早まる傾向があります。
ビス周りの補修は打ち直しが基本
劣化したビスを応急的にコーキングで覆うだけでは根本的な解決になりません。
専門業者によると、古いビスを撤去して穴を清掃し、一回り太いビスと新しいワッシャーで打ち直す手順が推奨されています。
ただし、メーカー推奨外の部材を使用すると保証対象外になる可能性があるため、材料の互換性には注意が必要です。
原因2|継ぎ目の開きと吹き込み
金属屋根では、長尺の板金が足りない場合の途中継ぎや、横葺き工法の横方向の継ぎ目など、複数箇所に継ぎ目が生じます。
この継ぎ目部分は温度変化による金属の膨張収縮で徐々に開いたり、毛細管現象で雨水が吸い上げられたりするリスクがあります。
毛細管現象とは、狭い隙間に水が吸い上げられる現象のことです。
施工時の処理不足が長期的なトラブルに
継ぎ目の処理が不十分だと、横殴りの雨や強風時に雨水が吹き込みやすくなります。
具体的には、シーリング材の充填不足、防水テープの未使用、板金の重ね幅不足などです。
低勾配の屋根や風雨にさらされやすい立地では、こうした弱点が顕在化しやすくなります。
継ぎ目補修は下地処理と補強材がカギ
継ぎ目の補修では、単純にコーキングを上からなぞるだけではひび割れや剥離で短期間に再発しやすいと指摘されています。
専門業者が示す手順では、古いシーリングの撤去、清掃、プライマー塗布の後、新しいシーリングに加えて補強テープや不織布を併用する工程が含まれます。
プライマーとは、シーリング材の接着力を高めるための下塗り材です。
また、継ぎ目からの浸水は屋根面を伝って離れた場所に現れることがあるため、室内のシミ位置と原因箇所が一致しないケースもあり、原因特定が遅れがちです。
原因3|シーリング材の劣化
金属屋根では、ビス頭、継ぎ目、棟板金、谷樋、壁との立ち上がりなど、多くの箇所でシーリング材が使われています。
シーリング材とは、隙間を埋めて防水するゴム状の材料で、コーキングとも呼ばれます。
しかし、紫外線・熱・凍結融解の繰り返しによってシーリングは硬化・収縮し、ひび割れや剥離が生じて防水性能が低下します。
相性と下地処理が寿命を左右する
金属下地や塗装との相性が悪いシーリング材を使うと、早期にはじきや割れが起こることがあります。
また、施工時の清掃・脱脂・錆び落とし・プライマー処理といった下地処理の良し悪しが、シーリングの耐久性を大きく左右します。
メーカーによると、劣化したシーリングは増し打ちよりも撤去して打ち替える方が望ましいとされていますが、屋根材の変形や下地の腐朽がある場合はシーリングだけでは解決しないこともあります。
| 原因箇所 | 主な劣化要因 | 補修の基本方針 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ビス周り | 施工不良(締め過ぎ/不足)、ワッシャー硬化・亀裂、ビスの錆び・緩み | 古いビスを撤去→清掃→一回り太いビス+新ワッシャーで打ち直し | メーカー推奨品を使用しないと保証対象外の可能性 |
| 継ぎ目 | 膨張収縮による開き、施工時の処理不足(シーリング・テープ・重ね幅) | 古いシーリング撤去→下地処理→補強材併用で充填 | 浸水箇所と室内のシミ位置が一致しないことがある |
| シーリング材 | 紫外線・熱・凍結融解による硬化・収縮・ひび割れ | 撤去して打ち替え(増し打ちより推奨)、下地処理が重要 | 屋根材変形や下地腐朽があるとシーリングだけでは不十分 |
放置すると被害はどこまで広がる?
雨漏りを放置すると、天井材、断熱材、木下地の腐朽、鋼材の錆び、カビの発生、さらには漏電リスクなど、構造・内装・衛生・電気設備へと被害が波及します。
天井にシミが現れた時点では屋根裏や壁の内部ですでに劣化が進行しているケースがあり、発見が遅れるほど補修規模と費用が増大しやすい傾向があります。
部分補修か全体改修か
ビスの打ち直しや継ぎ目のシーリング補修といった部分補修は、条件によって数万円から数十万円程度とされますが、足場の有無や作業箇所数で費用は変動します。
ただし、下地の腐朽が進んでいる場合、部分補修だけでは不十分になることも少なくありません。
一方、築20~30年を超えて全面的に劣化が見られる場合や、複数箇所で雨漏りが繰り返される場合には、カバー工法や葺き替えといった全体改修が合理的な選択肢になります。
カバー工法とは、既存の屋根の上に新しい屋根を重ねる工法で、葺き替えとは既存の屋根を撤去して新しい屋根に交換する工法です。
全体改修では、ビスの位置、継ぎ目の配置、シーリングの納まり、さらに後付けした太陽光パネルなどの設備固定方法まで見直せる利点があります。
業者選びで押さえたいチェックポイント
金属屋根の雨漏り診断では、ビス・継ぎ目・シーリングだけでなく、下地やルーフィング、役物の納まりまで確認する業者が信頼できる傾向があります。
ルーフィングとは、屋根の下に敷く防水シートのことです。
点検時に写真や動画でビスの浮きや継ぎ目の状態を説明してくれるかどうかも判断材料の一つです。
見積では、ビスの交換本数、補修範囲、使用するシーリング材の種類など、具体的な記載があるかを確認しましょう。
逆に、原因を特定せずにいきなり全面塗装などの大がかりな工事を勧める提案には注意が必要です。
ただし、状態によっては全面改修が合理的なケースもあるため、診断内容と提案理由をしっかり確認することが大切です。
まとめ
金属屋根の雨漏りは、板金本体よりもビス・継ぎ目・シーリングといった接合部で発生しやすいのが特徴です。
ビス周りではワッシャーの劣化や施工不良、継ぎ目では膨張収縮や処理不足、シーリングでは紫外線などによる劣化が主な原因となります。
放置すると内部で被害が拡大し、結果的に補修費用が膨らむリスクがあるため、早めの点検と適切な対策が重要です。
部分補修で済むのか、全体改修が必要なのかは下地状態や築年数によって変わりますので、信頼できる専門業者に診断を依頼し、納得のいく説明と見積を受けてから判断することをお勧めします。

