古いスレート屋根の修理を考えるとき、見た目や築年数だけで石綿(アスベスト)の有無を決められません。工事する部分の石綿事前調査を施工業者がどう行うか、まず見積書で確認してください。
厚生労働省は、建築物の解体・改修では規模の大小にかかわらず事前調査が必要と案内しています。施主は設計図書などを提供し、調査費と工期が適切に見込まれているかを確かめます。調査を自分で代行する必要はありません。
屋根に登って屋根材を割ったり削ったりすると、転落や粉じんの危険があります。屋根材を自分で採取せず、資格・要件を満たす調査者と工事の範囲を業者に確認してください。
屋根修理で石綿事前調査が必要か判断する入口
厚労省の改修・リフォーム業者向け案内では、解体・改修の作業に係る部分の材料について、工事前に石綿含有の有無を調べる必要があると説明しています。屋根修理でも、既存材を撤去・切断するなど工事対象となる範囲を、業者に具体的に示してもらいましょう。
2006年より前に着工した建物では石綿が使われた可能性があると厚労省は注意を促しています。ただし、建築年だけで個別のスレート材に含まれると断定できません。逆に、見た目が新しくても改修で使われた材料の履歴を確認する必要があります。図面、過去の修繕記録、屋根材の商品名が分かる書類があれば施工業者へ渡してください。
調査は設計図書などの文書確認と目視確認を組み合わせ、必要に応じて分析を判断します。施主が屋根に上がって採取する手順ではありません。
事前調査と100万円以上の電子報告を分ける
「100万円未満の修理なら石綿調査は不要」と考えるのは誤りです。厚労省は事前調査を工事規模の大小にかかわらず求め、別に、一定規模以上の工事では調査結果の電子報告が必要と説明しています。元請業者向け案内による改修工事の報告基準は、請負金額100万円以上です。
| 確認事項 | 適用の考え方 | 施主の質問 |
|---|---|---|
| 工事前の事前調査 | 規模にかかわらず | どの部分を調べますか |
| 結果の電子報告 | 一定規模以上で | この工事は対象ですか |
| 調査結果の説明 | 工事条件の確認に | 報告書を受け取れますか |
表の「電子報告」は施工業者側の行政手続きに関する条件です。施主が自分で届出を代行するという意味ではありません。一方、石綿を含む吹付け材や保温材などの特定作業では、発注者に別の届出義務が生じる場合があります。一般のスレート屋根修理すべてに同じ届出を求めるものではないため、実際の工事内容を業者と所管窓口に確認します。
石綿調査費が見積書にあるかを確認する
厚労省の発注者・施主向け案内は、工事費用に事前調査費が計上されているか、調査を行う資格があるかを確かめるよう勧めています。調査費の項目例は書面調査、現地調査、裏面確認、分析、総合調査報告書、交通費などです。すべての工事に同じ項目や金額が必要という意味ではありません。
- 既存屋根のどの範囲を調査する見積かを確認する。
- 文書・目視・必要時の分析と報告書が、どの費目に含まれるか聞く。
- 屋根外側の調査を行う人の資格・要件と、調査結果が出る時期を確認する。
- 含有が判明したときの撤去・処分費や工期の変更条件を書面にする。
「石綿対策費一式」という記載だけで、調査・分析・撤去・処分がすべて含まれるとは判断できません。金額だけで高い安いを決めず、どの作業が現在の見積に入り、何が調査後の再見積となるのかを分けて質問します。
見積から調査結果までの確認順を、下の図にまとめました。図は施主が書類を確かめる順序を示し、屋根材の調査・処理手順ではありません。

調査結果報告書と工事条件を照合する|屋根の石綿
事前調査が終わったら、厚労省が施主向けに勧める石綿事前調査結果報告書を業者に求めます。調査した屋根の範囲、確認に使った資料、判定結果、確認できなかった部分がないかを見て、工事範囲図と照合します。判定が保留の部位があれば、工事前にどう扱うか説明してもらってください。
石綿を含むと分かった場合、撤去・飛散防止・廃材処理で費用や工期が変わることがあります。調査結果を見てから追加費用の理由と範囲を書面で確認すると、口頭だけで工事内容が変わるのを避けられます。結果に関係なく、施主は適法な調査・工事ができる費用と期間へ配慮する必要があります。
処分費そのものの内訳や見積比較は、次の関連記事で扱っています。ここでは調査から結果報告までの確認に絞ります。
石綿の疑いがある屋根を施主が触らない理由
屋根の外観写真や図面を業者へ渡すことはできますが、施主が屋根へ上がり、スレートを割って断面を見たり、試料を削り取ったりしないでください。転落と粉じんへのばく露の両方が懸念されます。安全な地上から分かる範囲の記録にとどめ、判断は要件を満たす調査者に任せます。
- 築年数や屋根材の色だけで石綿の有無を断定しない。
- 屋根に登って材料を削る・割る・採取する自己調査をしない。
- 調査結果が不明なまま、処分方法や追加費用を確定したと考えない。
屋根修理の石綿調査は見積から報告書まで確認する
屋根修理を頼む前には、工事対象部分の事前調査、担当する調査者、見積に含まれる調査費を確認します。結果が出たら報告書と工事範囲を照合し、費用や工期の変更が必要なら書面で説明を受けましょう。
事前調査と一定規模の電子報告は別の条件です。100万円未満という理由だけで調査を省かず、個別の工事に必要な手続きは施工業者と所管窓口に確認してください。施主自身が屋根材を採取する必要はありません。

